土鍋といえば冬の鍋料理を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、実は毎日の食事にこそ取り入れたい存在です。
長谷園の土鍋は、三重県伊賀の地で採れる「伊賀土」を使い、職人の手によってひとつひとつ丁寧に作られています。多孔質で蓄熱性の高い伊賀土は、食材にじっくりと火を通し、素材本来の旨味を最大限に引き出します。
火にかけてしばらく待つだけで、鍋の中から立ちのぼる湯気、立ち上る香り。
その一瞬一瞬が、食卓にやさしさと豊かさをもたらしてくれます。
そして、長く使うほどに味わいが増すのも、伊賀焼土鍋の魅力のひとつです。色の変化や表面の風合いは、使い手の時間が刻まれた証。経年変化によって深まる表情は、まさに“育てる道具”と呼ぶにふさわしく、毎日の料理を通して少しずつ自分だけの土鍋に育っていきます。
今回は、著者が使っている長谷園の土鍋をご紹介します。
炊飯用の土鍋「かまどさん」
二重蓋が生む、まるでかまどの炊き上がり
「かまどさん」は、長谷園の代表的な炊飯用の土鍋。最大の特徴は二重蓋構造にあります。
内蓋と外蓋の間に適度な圧力がかかることで、まるで昔ながらの“かまど炊き”のような炊き上がりに。蒸気がしっかりと閉じ込められるため、お米の芯までふっくらと炊き上がり、甘みと香りが際立ちます。
しかも、火加減いらず。中火で火にかけて、時間が来たら火を止めて蒸らすだけ。誰でも簡単に、感動のごはんが炊きあがります。
キッチンに映える、まあるいフォルム
ころんとした丸みと、しっとりとした黒い釉薬の仕上げ。
「かまどさん」は、調理器具でありながら、そのまま食卓に出しても美しい存在です。
無骨になりがちな土鍋のイメージを覆し、キッチンやテーブルに置いてあるだけで絵になる佇まい。和洋問わず、どんな食卓にもなじみます。
暮らしに合わせて選べる3サイズ
筆者が実際に使っているのは、1合、3合、5合の3サイズ。
- 1合炊き:一人分だけ作るときに使っています。
- 3合炊き:毎朝、奥さんと私の朝ごはんとお弁当用のご飯(玄米2合+大豆)を炊いています。
- 5合炊き:道場においてあり、大人数でご飯を食べるときに使っています。
どのサイズも、炊きあがりは驚くほどふっくら。冷めてもおいしく、おにぎりにしても格別の味わいです。
日々の料理を支える「鍋」土鍋の魅力
味噌汁や煮込み料理にこそ、土鍋の力を
「かまどさん」以外にも、長谷園にはさまざまな用途に応じた土鍋が揃っています。
筆者が日常的に味噌汁や煮込み料理に使っているのが、「鈴(すず)」という土鍋。こちらも伊賀焼ならではの高い蓄熱性があり、火を止めた後も余熱でじっくりと火が通ります。
出汁の香りが立ち、具材の旨みがじんわりと溶け出す。そんな味噌汁が、毎日の食卓に小さな幸せを添えてくれます。
蒸し器にもなる万能鍋
さらに「鈴」は、別売りのすのこをセットすれば、蒸し器としても活用できます。
野菜の蒸し料理や、肉まんなど、優しい火入れで素材の甘みを引き出します。蒸気の力でふっくらと仕上がった料理は、どこか懐かしく、ほっとする味わいに。
毎日使いたくなる「暮らしの道具」
長谷園の土鍋は、決して“特別な道具”ではありません。火にかけて、少し待つだけ。
その時間と手間の中に、自然と「丁寧な暮らし」が宿ります。
「かまどさん」で炊いたごはん、「鈴」で作った味噌汁。どちらも、心も体もほぐれるような一品です。
あなたの台所にも、伊賀の土がくれるぬくもりを。
長谷園の土鍋は、今日から始める“豊かな日常”の第一歩かもしれません。
